ブーメラン効果とは?説得されると反発したくなる心理学の活用法!

ビジネス心理

ブーメラン効果とは説得が逆効果となって反発する場合の心理作用です。

よかれと思って説得しようとしたところ思わず相手の怒りをかってしまったという経験はありませんか?ブーメラン効果を活用してビジネスや恋愛、人間関係に役立てましょう!

ブーメラン効果とは?

ブーメラン効果とは、説得を含むコミュニーケーションの際に、説得される人が説得しようとする人に対抗して反対の意見で反発してしまう、説得の逆効果のことを指します。 子供を叱ったり勉強しろと言ったときに反発された、なんて経験ありませんか?説得中に相手が強く反発してきた場合、ブーメラン効果がはたらいていると考えられます。

ブーメラン効果の具体例

ブーメラン効果の具体例としては実際どのようなものがあるのでしょうか。 様々な例を見ていきましょう。

ダイエットの忠告はやめた方がいい?

ダイエットに挑戦する人は多いですが、本人の強い意志と努力が長期にわたって求められるため、なかなか成功しない人もいます。 太り気味の人は本人が自覚していることも多く、自分で「ダイエットした方がいいかな」などと考えているかもしれません。 そういう人に良かれと思ってダイエットの利点を説明したりしても、自分が否定されているような不快な気分にさせ、逆に怒りを買うことになります。

ボランティアのすすめが招く反発

ボランティアは本来、自主的に行うものですがそれを強要するような状況も増えているようです。当然、ボランティアが増えれば喜ぶ人もそれだけ多くなります。 しかし奉仕の精神が欠けているいる人に「良いことだからやりなさい」と押し付けても反発を招くだけに終わってしまうでしょう。たとえ一般的に立派に見えることであっても、強制的に参加させられると人は反発したくなるのです。

ブーメラン効果の起こりやすい場合

ブーメラン効果が引き起こされる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。ブーメラン効果の起こるメカニズムを明らかにするために見ていきます。

予告された説得

事前に、「今から説得します」と予告するのは、ブーメラン効果が起こりやすい場合の一つと考えられます。特に、それがネガティブな印象を与える予告であるとき、反発が強まる傾向があると考えられます。 その理由は、予告することで「今から説得される」と感じた相手は自分を守るために無意識に身構えるからです。

強い責任感による一貫性

責任感の強い人は、説得に対して反発しやすい傾向にあるといえます。自分の意見の一貫性を保とうとするため、相手から異なる意見を言われてもすぐには自分の意見をかえにくいためです。 このような人を説得する時には、反発が引き起こる可能性が高いといえます。

価値観や信念など自身の根幹部分への説得

強い信念や価値観に対して説得してしまうのも、ブーメラン効果が起こりやすいといえます。 そうした人間性の根幹にあるようなものに対して、別の考えで説得されると、「自分の存在を否定される」のに近い感覚を覚えるため、人は自分を守るために反発しやすくなります。 自分の確固たる意見を否定してくる説得にはブーメラン効果がはたらきやすくなるということです。

嫌いな相手が賛同している意見

自分の嫌いな相手が賛同している意見に対しては妙に反発してしまう、そんなことはありませんか? ブーメラン効果が起こりやすいかどうかは自分と相手の関係性、親密性に依存する部分がかなり大きいです。嫌いな相手ほど、内容に関係なく反発したいという心理がはたらきます。 逆に信頼関係が築けている相手からの意見であれば、反対意見であっても受け手はしっかり受け取めようとするので、ブーメラン効果は起きにくいでしょう。

説得をしてくる相手の態度が押し付けがましい

相手の説得が「これはお前のために言ってるんだぞ」と押し付けがましい時、言っていることは的を射ていてもどうも賛成できないと感じてしまうことはありませんか? 伝える内容が一緒でも、相手の態度によって受け手の受け止め方は変わります。先ほども話した相手との関係性にも関係しますが、相手が自分のためを思って伝えてくれている、と心から感じられない態度であれば、ブーメラン効果による反発は起こりやすいでしょう。

ブーメラン効果を回避するには「相手を尊重する」

ここまでブーメラン効果の起こりやすい場合を見てきましたが、その原因として共通しているのは、「相手を尊重」できていないことだといえます。 無理に説得しようとすることや、相手の価値観を真っ向から否定することは相手のための行動とは言えません。しかし、相手のことを考えて信頼関係を築き、その上で本当に相手のためになると思った意見をぶつけたら、相手は無下に反発するでしょうか?きっと、その説得を受け止めてくれるはずです。 無理に説得する前に相手のことをよく理解し、尊重した上で意見を述べたりすることがブーメラン効果とうまく付き合っていくためのポイントとなります。

ブーメラン効果の活用法[マーケティング編]

ここではマーケティングにおけるブーメラン効果の対策をご紹介します。コピーライティングにしても対面販売にしても、最初から一番の売り言葉を言おうとしないことが大事です。 いちばんの売り言葉をお客様に連想してもらえるよう誘導することがコツです。例えば、「この商品は高度な省エネ機能がついていて、平均すると毎月500円ほどお得です」といって少し待っていれば、お客様は「ということは、年間6000円の節約になるのか」と頭の中で計算してくれます。いきなり「一年で6000円も節約できます」と押すより納得感があります。 また、あえて「○○のような方には向いていない商品です」ときちんと説明することで、ブーメラン効果の回避につながります。

ブーメラン効果の活用法[恋愛・人間関係編]

ここでは恋愛や人間関係に活かせるブーメラン効果の使い方をご紹介します。心理学を活用してコミュニケーション力を高めましょう。

好きな人を振り向かせたい時

ブーメラン効果は、先ほど説明したように人に、「押し付けると反発する」という心理を表します。この反発を恋愛に応用すると、相手にアプローチする際の注意点が見えてきます。 それは「過度なアプローチは失敗を招きやすい」ということです。連絡が多すぎたり、態度があまりにストレートすぎると、相手は逃げたくなります。 やはり時には引いてみることをおすすめします。少し間をあけて連絡するなどして、様子を見ながら相手の反応をうかがいましょう。

相手に強烈な印象を残したい時

相手にもよりますが、「あえて冷たい態度をとったり反論したりする」という方法もあります。当然ネガティブな態度をとれば、相手はあなたへの印象を悪くします。ですが印象の悪さの度合いによって、それだけ強く記憶されるという利点もあります。 もちろん、この手法は相手に悪印象を持たれたままで終わる可能性もあるので十分な注意が必要です。その後のフォローやアプローチ次第では、良い関係に発展することもあるでしょう。

ひとくせある人とぶつかりたくない時

ひとくせある人は、こだわりが強かったり素直でなかったりして敬遠されがちです。関わらないのが一番よいのですが、どうしても避けられない状況に置かれた人もいるでしょう。 そのような人に対処するのは簡単ではありませんが、相手の意見を肯定することである程度ブーメラン効果を回避することができます。まずは受け入れて様子を見ます。そのあと必要であれば別の意見を提案するということを試してみてはどうでしょう。

ブーメラン効果の活用法【教育編】

ブーメラン効果を教育心理学的に活かした例として「宿題」を挙げてみます。今回は「いかにブーメラン効果を避けるか」ということ焦点を当ててみます。 子供が家でだらだらして、いつまでたっても宿題をやらないのでつい怒鳴ってしまった、ということよくあります。

「宿題をしなさい」という言葉を聞くと、その途端に反発してくる子供もいるでしょう。まさにブーメラン効果が生まれやすい状況と言えます。 本人は、当然「宿題はやらなければいけないもの」だとわかっているはずです。わかっていることを、さらに人から命令されたり説得されたりするので抵抗したくなるのでしょう。 宿題をしたくない理由を聞いたり、抵抗する必要のない問いかけをしたりすることが大事です。

例えば「○○の後でやるのか、○○の先にやるのか」とか「宿題は順調に進んでいる?」などです。ときにはいくつかご褒美の選択肢を提示することで本人のやる気を引き出すこともできるかもしれません。 幼児くらいであれば、「これが終わったら、おやつにしようね」とか「もう少しでできるね」などと励ました方が抵抗が少ないでしょう。

ブーメラン効果に関連する心理学用語

ブーメラン効果と同じように、心理的な影響を説明した心理学用語は他にもたくさんあります。ニュアンスは違うけれども似たような心理的効果を表す用語をここでは見ていきます。

心理的リアクタンス

ブーメラン効果に関連する心理学用語として、「心理的リアクタンス」があります。心理的リアクタンスとは、自分の行動や態度を自由に決めたい、という欲求から発動する心理状態を指します。 人は、生来、主体的に自分で物事を選びたいと考えているため、誰かに強制されたり強要されたりすると反発したくなる心理が働きます。そういう自分なりの自由を取り戻そうとする反発作用を「心理的リアクタンス」といいます。 ブーメラン効果と一見同じ心理効果のように見えますが、ブーメラン効果は自分の説得で自分の意見が攻撃されることでの心的不安を軽減したい「守り」の心理効果であるのに対し、心理的リアクタンスは、相手の強制によって失われた自由を取り戻したいという「攻め」の心理効果なので、その要因は異なります。

バーナム効果

バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような性格を示す説明を、まるで自分だけに当てはまる性格だと理解してしまう心理現象です。 例えば「あなたは明るいですが、時にどこか内向きになってくよくよしてしまうこともあります」という性格診断。冷静に考えれば、かなり多くの人に当てはまりますよね? 興行師であるバーナムの「誰にでも当てはまる要点というものがある」という言葉に因んで名付けられました。 別名フォアラー効果とも言われます。

認知的不協和理論

認知不協和理論は、自分が持っている認知と相反する別の認知を同時に持ったときに感じる不快感を表す用語です。 人は態度や認識の一貫性を求める傾向があり、自分の中で正しいと思うことに対して異議や不一致な考えがあると、それらを不快に感じて取り除いたり減らしたりします。

ホーソン効果

アメリカのホーソン工場で行われた調査の結果、作業員の「注目されている」「見られている」という意識が作業効率を高めることがわかりました。このことから、「人は関心を持たれたり期待されたりすることで行動が変化し、よい結果を出す」という理論が打ち立てられました。これをホーソン工場に因んでホーソン効果と名付けられました。 元気がないときでも相手が自分に好意や関心を持っていると知って、「よし頑張ってみよう」「期待に応えよう」などと思うのも日常的なホーソン効果といえます。

スリーパー

スリーパー(スリーパー効果)とは、時間が経過するにしたがって情報源と情報内容の隔たりが起き、情報内容だけが記憶に残される現象です。もともと信頼性が低い情報源であるにもかかわらず、仮眠や居眠りのように忘却して、やがて意見や態度を変えるということからこの名が付けられました。 1940年代、第二次大戦中にカール・ホブランドという人が「Why WE Fight」というプロパガンダ映画を兵士に見せて、その効果を調査しました。その結果、映画を見た直後は効果がなかったものの約9週間後に効果が表れました。 このことから時間の経過とともに情報源の信頼性は忘れられ、説得効果が増大する現象を導き出しました。

反発はコミュニケーションのスパイスと考える手もあります

いかがでしたでしょうか。相手の心を見透かすことができれば反発も起きにくいのですが、それは難しいでしょう。 意見の食い違いや対立はコミュニケーションにおけるスパイスのようなものかもしれません。さらに良い人間関係をつくるための糧にしたいですね。

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