同調圧力とは?同調圧力が起こる心理的理由・乗り越えるための3つの方法

ビジネス心理

「みんなと同じ意見にしないと嫌われそうだから合わせなくては」というように、多数派の意見に同調しなければいけないという無言のプレッシャーを感じたことのある人は多いと思います。同調圧力はなぜ起こるのか?同調圧力とは何か?今回は人が同調する心理を考察していきます。

同調行動や同調圧力の裏にある心理を理解しよう

「みんながやっているから私もやろう」というような同調行動や、「(本当は自分は違う方がいいけれど)みんなが選んでいる方を選ばないといけない感じがする」という同調圧力は多くの人が体験したことのあることだ思います。 つい周囲の行動を真似してしまう時、その裏にはどのような心理が潜んでいるのでしょうか。日本人の特徴などから同調する原因を見ていきます。

同調行動とは?

同調行動とは、同調性のある行動のことをいいます。同調とは他の人に調子を合わせること、つまり他の人の主張や考えに自分の意見を合わせることを意味します。なので周囲の人と同じ行動をとる性向を、同調行動といいます。

同調と協調の違いは?

同調が他の人に調子を合わせることであるのに対して、協調とは意見や立場が違ってもお互いにゆずり合って協力することをいいます。協調は調和をはかったりお互いに助け合ったりという前向きなものですが、同調には恐怖や不安が伴うことが多く、二つは全く違うものです。

同調圧力とは?

同調圧力とは、集団において少数意見の人に対して多数意見の人の考えを暗黙的に強制することをいいます。集団の中で、他の人と同じ行動をしなければいけないような雰囲気を感じたことのある人は多いと思います。空気を読まなくてはいけない、これこそが同調圧力です。

同調圧力が起こる心理的理由

同調圧力が起こる時、どのような心理が働いているのでしょうか。まず、人は自分と行動が同じ人に対して安心感や親近感を感じます。これを同調効果といいます。そして集団において人は、無意識に他人と同じ行動をとってしまいやすいのです。 逆にいえば自分が正しいと思っていることと違う意見を持った人に対して不安を感じるということでもあるため、自分に同調するように強要したい心理が働くのです。お互いに似たもの同士でいられるようにして安心したいということです。また、多数派の意見は正しいと感じやすい傾向があります。 そのため、自分も正しくありたい、人と違うことをして嫌われたくないという気持ちがあると自分から同調圧力に屈してしまいやすいのです。このような同調効果を利用して、商売人が流行を操る時や、社長が会社を動かしたい時などにも同調圧力が使われます。

同調圧力はデメリットが大きい

同調圧力は「暗黙の了解」で無言の圧力ですから、反論は許されない空気です。言葉ではっきりと伝える話し合いができないので、解決が難しくなります。少数派は肩身の狭い思いをしますが、多数派にいる人の中にも自分も我慢して長いものに巻かれて同調しているだけという可能性もあります。 会社や地域等で今となってはほどんと意味のないしきたりのようなものでも、同調圧力のせいでやめるという選択肢について話し合うことができないケースもあります。負担でしかない学校等の行事で中身のない形だけの催しが行われている場合も、同調圧力が働いています。 「私も我慢してやっているのだから、あなたも我慢しなさいよ」という考えで同調してばかりでは、他の新しい意見を取り入れられずその集団に成長は得られません。同調圧力は結局お互いが窮屈になり、やがては破滅へと向かっていくのです。

日本人が同調圧力の強い民族である理由

日本で同調圧力を感じる機会は多いと思います。職場、学校、テレビやインターネット、また家庭内においても同調圧力は存在します。日本人が同調圧力の強い民族である理由は何なのでしょうか?日本はムラ社会といわれています。 ムラ社会とは、有力者を中心に古いしきたりにこだわり、よそ者を受け入れない排他的な社会のことをいいます。その集落での掟や価値観が絶対で、そこから外れる者は村八分にするなどの制裁を与えることは、まさに同調圧力といえます。

また日本人は農耕民族のため、同じ時期に同じ行動をしないと生活が成り立ちませんでした。そのため「みんな同じ」で同調することが良しとされ、「出る杭は打たれる」つまり同調圧力が起きたのです。 そのうえ日本は島国であるために、多様性に触れる機会が多くありませんでした。混血もほとんどないので、日本人とは違う文化や違う意見を言う少数派の人と接して受け入れるという経験をあまりしてきませんでした。

人は理解できないものに対しては脅威を感じ排除しようとするので、同調圧力が生まれるのです。そのため、自分も周囲とは違ったことをすると嫌われるのではないかという恐怖から、周りに同調しやすくなります。みんなと同じでいることで安心したいのです。 波風を立てたくないので自分の意見を言うのを我慢したり、やりたくないことでもみんながやっているからやらなくてはいけないといった集団主義の考えが今でも多く残っていることが、日本人の同調圧力が強い理由であるといえます。

同調圧力を乗り越えるための3つのポイント

周囲からの同調圧力で窮屈さを感じながらも、無理して合わせるといったことを続けてはいないでしょうか。同調圧力で我慢を強いられれば、それはストレスとなります。ここでは同調圧力を乗り越えるためのポイントをお伝えします。

外部に相談する

ある集団の中で同調圧力が起きている時は、第三者の視点を取り入れて閉塞的な関係に風穴を開けることが重要です。ムラ社会では問題が起きても、何もなかったことにして隠そうとすることがあります。同調圧力のかかった内部だけで解決することは難しいといえます。 そこでその組織とは何のしがらみもない第三者に内情を説明したり、時にはその組織の掟ではなく警察に入ってもらって法にまかせたりすることも必要です。同調圧力によって起こるいじめやハラスメントは、非常に閉鎖的な人間関係が大きな原因の一つとなっています。 といっても同調圧力で多くの人を支配することは範囲に限界がありますので、閉鎖的な空間での問題が関係者以外の人達にも明らかにされることはとても重要なことなのです。そのことによって、凝り固まったルールでの支配構造が崩壊し同調圧力を起こせなくなっていくからです。

村八分を恐れる必要はない

村八分、つまり仲間外れにされたり嫌われるのが怖くて同調圧力に屈してしまっている人は多いと思います。しかし同時に強烈な息苦しさや違和感を感じている人も多くいます。 かつてのムラ社会では、自分の所属する集団に同調しなければ食べ物を分けてもらえずに生きていけないという時代もありました。また戦時中や戦後の生きるか死ぬかという時代には、贅沢なんて言っていられずに我慢することが当たり前でした。 個人のことよりも集団のことを優先して頑張らなければ、非国民だというような同調圧力もありました。 しかし今は社会が大きく変わって豊かになり、またインターネットによって瞬時に世界中の人と繋がることもできるようになりました。

たとえ村八分になったとしても、今は自分で食物を調達して生きていくことができます。生き方も多様化し、もし身近に理解者はいなくてもインターネットで探せば、同じ心境の人や専門家などわかってくれる人は必ずいます。同調圧力に屈せずとも生きていく方法はいくらでもあるのです。 家庭内でも同調圧力をかけてくる親は存在しますが、家族といえども夫婦間の主導権争いに巻き込まれる必要はありません。親にさえ、もう無理に同調することなく自分の気持ちを優先にしても大丈夫なのです。

自分の基準を持つ

同調圧力の強い日本ではなかなか本音を言えないことが多いですが、自分の基準を持つことは大切です。自分を殺して人に合わせてばかりいると、自分が何を感じているのか、自分がどうしたいのかが本当にわからなくなってしまいます。 自分の基準を取り戻すためには例えば、所属している集団では当然とされている前提がそもそも合っているのかどうかを疑ってみたり、他の方法はないのかを視野を広く持って考えたりしてみましょう。

同調してそこに留まる必要があるのかどうかを判断したり、同調圧力に流されずに自分のものさしを意識してみます。いきなりは難しいかもしれませんが、表面上では周りに同調しなければならない時も自分を見失わないように、同調している自分に気づくことが大事です。

枠から出る勇気を持って

周りに同調して言いたいことは我慢し、やりたくないことを無理してやる。そのような場所にいつまでも自分を置いておく必要はもうなくなりました。「人と違う」ことに対する不安や恐怖がなくなると、我慢することもなくなっていきます。 自分も我慢しているがゆえに、知らない間に多数派に回って同調圧力をかけるということもしなくなります。もう檻の扉は開かれています。恐れずに自分を表現した時、共感してくれる人が必ず現れます。勇気を持って自分を自由にしていってください。 これからはますます、それが可能となる時代なのです。

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