いつも誰にでも優しい人よりも、ツンデレな人がモテるには理由があったのです。心理学の間欠強化を上手に活用すれば、恋愛も子育てもビジネスもすべてうまくいく?連続強化との違いや間欠強化を実生活に落とし込む具体例をご紹介しています。
間欠強化とは?
間欠強化(間歇強化ともいう)というのは、 確実にもらえるとき以上に成功報酬がもらえる頻度が少ないほど、もらえたときの快感が大きくなり、その余韻を味わうために、何度も継続してしまう という心理原則です。 簡単に言うと、ある行動に対して、必ずご褒美(報酬)があるのではなく、あったりなかったりすること(条件付け)によって、逆にやる気が起きてその行動をやりたくなってしまうことです。 なんとなく意味はお分かりいただけたと思いますが、次からは具体例を挙げてさらに解りやすく解説していきます。
間欠強化の具体例
間欠強化には実際にどのような具体例があるのか見ていきましょう。
ツンデレな人がモテる
いつも誰にでも優しい人に対して周囲の人は「いい人」という評価を多く獲得しがちですが、 いつもは冷たいけど時折優しくなったりデレたりする人 に対して周りの人たちはギャップにやられ、もっと喜んでもらいたいと思ってハマってしまうようです。
動物のしつけ
動物のしつけも、毎回できた時に餌をあげるとモチベーションが低くなってしまいますが、できた時でも時折餌をあげない事をすることによって、モチベーションを維持させることができます。 ただし、何かをできたとき餌がもらえると覚えるまでは逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。
会社員のボーナス
査定で良い評価を得るために一生懸命仕事に精を出したりしますし、もし、その年は業績が上がらずにゼロだったとしても、次はもらえると考えられている間はモチベーションとなります。
間欠強化と連続強化
間欠強化に対して、連続強化という心理学用語もあります。 間欠強化と連続強化は報酬がもらえる頻度が異なります。 以下では連続強化を説明していきます。
連続強化とは?
ある反応が発生するたびに強化を与える手続きをいいます。 簡単に言うと、ある行動をした結果、必ずご褒美(報酬)を得ることです。 間欠強化がたまにしか報酬をもらえないのに対し、連続強化は毎回報酬をもらえるという点が異なるのですね。 次に連続強化をより理解するためにも、具体例を挙げていきましょう。
連続強化の具体例
連続強化は実際にどのような具体例があるのか見ていきましょう。
必ず返信が来る
相手のことが気になってメールやLineを送ったとしましょう。 その度に毎回返信が来るのであればそれは連続強化です。 逆に返信が来なかった時に気持ちはとても落ち込んでしまうでしょう。
犬に「お座り」を覚えさせる
犬がお座りができた時は餌を与える、という事を繰り返しているうちに、犬はお座りができるようになります。 間欠強化のところでも出てきましたが、「何かをする」→「餌がもらえる」という法則を認識できるようになるまでは連続強化が効果を発揮します。
連続強化と間欠強化 それぞれのメリット・デメリット
間欠強化のメリットとしては報酬をもらえた時に喜べるということがあるでしょう。 いつももらえる訳ではない分、もらえることにフォーカスがされるのですね。 間欠強化のデメリットとしてはいつも報酬をもらえるとは限らないことが挙げられます。 せっかく頑張ってももらえない場合があるからですね。 連続強化のメリットとしてはいつも報酬がもらえることですね。 連続強化のデメリットとしては報酬をもらえなかった時にモチベーションが下がってしまうことです。いつももらえている分もらえなかった時のことがフォーカスされてしまうのでしょう。
間欠強化を使った方がいい場面は、例えば子どもの教育でテストの点数を上げたい場合や、相手から好かれたい場合でしょう。 毎回ではなく不定期に報酬を得るようにする(部分強化とも言います)。そうすると、何回かに1回は報酬をもらえることを体験するので、その行動を止めてしまうと報酬を得る機会をなくしてしまうので行動を止められなくなります。 一方で連続強化を使った方がいい場面は何か悪い習慣や癖を矯正するときなどが挙げられるでしょう。 例えばダイエット中にお菓子を食べてしまったら絶対に10kmのランニングをする、などを自分に課すことなどが挙げられます。 これはお菓子を食べてもたまにランニングすればいいという間欠強化では成果が出ないですよね。
間欠強化に関するスキーナの実験
間欠強化に関する実験を行ったのが、アメリカの心理学者のスキーナです。AとBのボックス両方にそれぞれマウスを入れ、Aはマウスがレバーを押せば必ず餌が出てくる装置(連続強化)を、Bはマウスがレバーを押してもたまにしか餌が出てこない装置(間欠強化)を設置したのです。 そうすることにより、Aのマウスはレバーを押せば餌が出てくると覚えているので、押しても餌が出てこなくなるとすぐにレバーを押すことを止めてしまいましたが、Bのマウスはレバーを押しても餌がたまにしか出てこないことを知っているので、餌が出てくるまで押し続けた、という事です。 このことから、連続強化で毎回報酬を得ると飽きやすくなってしまう事、そして、間欠強化でたまにしか報酬を得ることができないと、その報酬を得るまで諦めずに頑張り続けることができるという事がわかったのです。
間欠強化の活かし方
スキーナの実験でもわかったように、間欠強化で報酬がたまにある方が人も動物もハマりやすく、間欠強化と連続強化をうまく実生活に取り入れていくことが、様々な事柄を円滑に進めるうえで重要なことがわかりました。 では、どのようにして間欠強化を実生活に取り入れていけばいいのかを具体例を挙げてみていきましょう。
【恋愛編】じらしによる駆け引き
恋愛中は、メールやラインで連絡をいつも取り合いたい!と考えている女子は多いと思いますが、もし彼の気持ちを長く自分に集中させておきたいならば、連絡をする頻度は少なくしましょう。 彼がメールをするとすぐに返信がある、という事は連続強化を彼に与えていることになります。そうすると、先ほどのマウスのように飽きてしまうのです。 彼がメールをくれたとしてもすぐに返信するのではなく、間欠強化を使ってたまに返信しない時があるくらいのように、少し焦らすくらいがちょうどいいでしょう。 時折ある刺激(報酬)の方が相手がのめり込みやすくなるのです。
【教育編】テストでいい点を取る
テストで80点を取ったときに、お母さんが褒めてくれたが、次のテストで85点の時には褒めてもらえなかったとします(間欠強化における強化子の不連続)。連続して褒められると思っていたはずの子供にとっては、次にまたご褒美をもらえるように勉強を頑張りやる気を出す、というわけです。
【ビジネス編】営業成績を上げる
営業職に対しては歩合制を導入している企業が多いですが、時折キャンペーンなどを設けお給料以外のやる気を引き出させる特典を付けることがあります。いつものお給料以外で報酬を得られる、というところに魅力を感じ、仕事を頑張るのです。
間欠強化や連続強化はオペラント条件付けの一部
オペラント条件付けとは、ある行動をした結果、環境がどう変化したかを経験することによって、自発的に環境に適応する行動を学習することです。報酬や罰に適応して自発的に行動を行うようになります。 自発的に生じた行動のことを「オペラント行動」と言います。 オペラント行動を増加させるための刺激として報酬や罰があり、この報酬や罰が毎回得られるのが連続強化、時折得られるのが間欠強化というわけです。 要するに、間欠強化や連続強化とは報酬や罰の頻度が異なるだけで、両者ともオペラント条件付けの一部とも言えます。
連続強化と間欠強化をうまく生活に取り入れる
もしあなたが恋愛中だった場合、相手を長く自分に引き付けておきたいと思うならば間欠強化をうまく活用してみましょう。 具体的には、メールやラインの場合であれば数回に1回返事をしてみたり、直接会っているのならば相手の行動に対して過剰に反応せず、平静を保つという事です。 そうした中で、時折笑顔を見せたり、優しい言葉をかけてあげれば、相手はどんどんあなたにハマっていきます。 子供の教育に活かしたい場合やペットのしつけをしたい場合は、最初の数回は連続強化で褒めてあげたり、ご褒美をあげます。 その際は大げさなものではなく、小さなご褒美にしてください。 その報酬を得ることに相手が慣れてしまう前に、間欠強化へと切り替えていくと、相手のやる気を引き出した状態で継続させることができます。 このように、周りの人たちにやる気を出させたり、相手を惹きつけたりするには、連続強化や間欠強化をうまく生活に取り入れることです。 実生活でぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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