「胸に変なしこりができて、どうしても取れない‥」
母乳育児中、おっぱいにグリグリとしたしこりが出来て、なかなか取れないこともあります。胸に出来たしこりは触れるだけで痛く、子供を抱っこするのも辛くなりますね。
乳房のしこりをそのまま放置しておくと、本格的な乳腺炎になる恐れがあります。また、乳腺炎が落ち着いた後でも、胸にしこりがそのまま残ることもあります。
・しこりが取れる授乳方法のコツは?
・乳腺炎のしこりはマッサージで解消できる?
繰り返す乳腺炎や胸のしこりは、授乳中ママの切実な悩みのひとつ。乳腺炎のしこりの取り方や、しこりを解消する授乳方法、マッサージ方法のコツなどをご紹介しましょう。
乳腺炎のしこりが、なかなか取れない‥
乳房のしこりは、乳腺炎の初期によくみられる症状のひとつ。しこりをそのまま放置しておくと、本格的な乳腺炎に発展する恐れもあるので、早めに対処したいものですね。
母乳の通り道である「乳管」が途中で詰まってしまうと、その部分にしこりが出来ます。しこりのできた乳管からは母乳が排出できなくなり、乳房が赤く腫れたり、パンパンに張ってしまいます。
乳房の奥の乳腺で作られた母乳は、細い管を通って乳頭まで運ばれてくるのですが、そのどこか途中で乳栓(石灰のような脂肪のかたまり)が母乳の出る道をふさいでしまうことがあります。
突然、乳房の一部分にしこりのような張りを感じます。時間とともにこのしこりは、これ以上ふくらますことができない風船のようになって、パンパンにはれて痛むようになります。
詰まったのはたった1本の乳管だけなのに、詰まっていない排乳口からも、母乳の出は悪くなります。乳頭の先端に詰まらせている白い小さなかたまりが見える場合もあります。
引用:「桶谷式 母乳で育てる本」桶谷式乳房管理法研鑽会(主婦の友社)p.120-121
乳腺炎の前触れで出来るしこりは、痛みや熱をともなうことが多いのですが、「しこりはあるけど痛くない」という場合もあります。しこりが痛くない場合もそのまま放置せず、早めに手当するようにしましょう。
また、なかなか取れないしこりが赤くなったり、ジンジンと痛みだしたり、熱をおびた感じがする際は要注意。一気に乳腺炎が悪化する恐れもあるので、早めに母乳外来や婦人科の受診を。
乳腺炎の「痛いしこり」取り方のヒント5つ
「乳腺炎のしこり‥なかなか取れないし、痛い!」
乳腺炎の痛いしこりが乳房に出来ると、赤ちゃんを抱っこするのも大変になりますね。乳腺炎が落ち着いても、乳房にゴロゴロとしたしこりが残ることもあります。
乳腺炎の痛いしこりは、どのような取り方をすればいいのでしょうか。なかなか取れないしこりの治し方のヒント5つをご紹介しましょう
1)赤ちゃんに頻繁に授乳する
乳腺炎のしこりがなかなか取れない場合は、とにかく頻繁に授乳をして、赤ちゃんに母乳の詰まりを吸い出してもらうようにしましょう。
いろいろな抱き方、飲ませ方を工夫して、赤ちゃんに詰まっているかたまりを吸い出してもらいましょう。飲ませて搾乳、飲ませて搾乳を繰り返します。
特に夜間は乳汁分泌もよく、乳栓が抜けやすいので、頑張って授乳をして下さい。うまくいくと、この塞いでいたかたまりがとれ、ふくらんでいた乳腺から、たまっていた乳汁が鯨の潮吹きのように噴出し、風船がしぼむようにしこりがとれていきます。
引用:「桶谷式 母乳で育てる本」桶谷式乳房管理法研鑽会(主婦の友社)p.121
しこりができたら、いつもより授乳間隔を短くして、赤ちゃんに母乳を飲んでもらうことが大切です。また授乳の際は、しこりがある方の乳房から、先にあげるようにしましょう。
2)授乳方法を工夫する
乳腺炎のしこりを解消するには、赤ちゃんが乳房全体からまんべんなく母乳が飲めるように、授乳方法を工夫しましょう。乳腺炎の悪化を防ぐには、飲み残しの母乳を乳房内にためないことが大切です。
また授乳の際は、しこりのある場所を手でグッと押すようにしましょう。しこりの外側から乳頭にむかって、指の腹で圧迫するのがコツです。
うまくいけば次第に母乳の詰まりが解消され、しこりが小さくなっていきます。ただし、しこりがある場所を強く揉んだり、自己流でマッサージすることは控えましょう。
3)食生活には十分に注意を
乳腺炎のしこりができてしまった時は、ママの食生活にも注意が必要です。高カロリー・高脂肪な食べ物、冷たいもの、消化に負担をかけるものは控えましょう。野菜たっぷりのお味噌汁やおかゆなど、お腹にやさしい和食メニューがおすすめです。
また体内の循環を促すために、十分な水分補給をすることも大切です。温かいノンカフェインの飲み物を、こまめに摂るようにしましょう。
乳腺炎・しこりの予防効果で有名な「たんぽぽ茶」もおすすめです。母乳の質をよくし、詰まりにくいおっぱいになることから、多くの母乳育児ママに愛飲されています。
4)オイル湿布で詰まりを解消
乳腺炎のしこりは、母乳の出口である「乳口」が詰まることで出来ます。しこりが硬くても、乳口の詰まりさえとれれば、乳房は元通り柔らかくなるはずです。
しこりや乳腺炎の原因となる乳口の詰まりをとるためには、「オイル湿布」が効果的だと言われています。
乳口が詰まったなと思ったら、まずオイル湿布をしてみましょう。キッチンにあるサラダ油やオリーブ油など、食べられるサラッとした油を、ほんの1~2滴乳首の先につけ、食品用ラップ剤で覆ってブラジャーで固定し、30分ほどたったらキッチンペーパーなどで拭き取って授乳するか、手で母乳を搾り出します(搾乳)。
その際、しこり部分を手のひらでやさしく圧迫しながら授乳・搾乳するとより効果的です。これを2度ほど繰り返すうちに、詰まってから半日以内の新しいしこりであれば、ほとんど解消します。
引用「おっぱいでもっとらくらくすくすく育児」北野寿美代(MCメディカ出版)p.78
しこりの原因となる乳口の詰まり(乳栓)は、母乳の脂肪などが固まったもの。その乳栓がオイルで柔らかくなることで、授乳・搾乳の際に抜けやすくなると言われます。
しこりを放置しておくと乳栓が固くなって、余計に取れにくくなります。何度かオイル湿布を試してみてもしこりがとれない時は、早めに助産院や病院でケアを受けるようにしましょう。
5)葛根湯の服用も効果的
風邪のひき始めなどによく服用される漢方薬「葛根湯」は、授乳中でも安心して飲めるお薬のひとつ。炎症を抑える働きがあるため、乳腺炎の悪化を防ぐ効果があると言われます。
葛根湯は乳腺炎が本格的に悪化したり、高熱が出てから飲むのではなく「おっぱいに違和感を感じる」くらいのタイミングで早めに服用するようにしましょう。
乳腺炎を繰り返しがちなママ、しこりが出来やすいママは、葛根湯を家に常備しておくのもいいかもしれません。
乳腺炎のしこりを解消するマッサージ方法は?
それでは乳腺炎のしこりを解消するには、どのようなマッサージ方法が効果的なのでしょうか。
乳腺炎が悪化して発熱しているような時は、助産院などで乳房マッサージを受ける方がいいのですが、症状が軽い場合は以下のようなマッサージ方法を試してみてもいいでしょう。
「しこり圧迫法」
乳腺炎の原因になるしこりを圧迫して散らすマッサージ。痛みがなくても、しこりを感じたら行うといいでしょう。乳腺炎の予防にもなります。圧迫する時に指でしごかないで。
・しこりの部分に小指の付け根の下、手首のすぐ上の手の腹をあて、しこりを背中のほうへグッと押します。この時、しごかないこと。あくまでもしこりを押して散らすイメージで。
引用:「母乳育児ミルク育児の不安がなくなる本」渡辺とよ子(主婦の友社)p.24
しこりがある場所を、手の腹でグッと押し込むようにしてマッサージをしましょう。しこり部分を揉んだりしごいたりしないように注意を。
おっぱいトラブルは、早めに解消を!
乳腺炎のしこりは、乳房内に母乳の詰まりがあるサインです。しこりのある場所をギュッと押しながら何度も授乳をして、詰まりを押し出すようにしましょう。
十分な水分補給も大切です。温かいノンカフェインのお茶などを、こまめに飲むようにしましょう。乳腺炎の予防効果がある「たんぽぽ茶」を試してみてもいいですね。
乳腺炎を悪化させないためには、早めの対処と予防が大切です。乳腺炎を予防する食生活や授乳方法を守り、ストレスのない母乳育児を続けて下さいね。