妬みとは、他人を羨ましく思い、その分憎らしく思う感情のことをいいます。みなさんも、他人を妬むこともあれば、妬まれる経験をしたことのあるのではないしょうか?そこで今回は、妬む人の心理やその理由、妬みの感情から解放される方法についてご紹介します。
嫉妬をやめたいあなたへ。「妬み」という感情を理解しよう
みなさんは嫉妬することをやめたいと思いますか?人は、妬むことによって次々と負の感情が湧きおこる傾向があります。人間社会において、あまりに自然な成り行きで生まれる「妬み」という感情。やめようと試みたところで、簡単に妬むことがなくなることはありません。 しかし、「妬み」という感情の正体を知ることで、負の感情のスパイラルに巻き込まれにくくなります。人が他人を妬む時、どんな心理を抱えるものなのでしょうか?そして、なぜ人は妬むのでしょうか?そんな「妬み」の正体についてご紹介します。
妬むの意味とは?妬む人とはどんな人?
「妬む」とはどういうことなのか?また、妬む人とは一体どんな人なのか?まずはじめに、「妬む」の意味や、妬む人の特徴についてご紹介します。
妬むの意味
「妬む」とは、他人が自分より優れている状態や、自分には持っていない長所に対して羨み、憎らしいと思うことを意味します。人はそもそも姿形から性格まで違うのが当然です。それでも、自分と他人の違いに対して「不平等だ」と言わんばかりに僻むのが人間の性なのでしょう。 人間社会における自然さゆえの不平等な現実に、妬みから僻みへ、僻みから憎しみへ、そして憎しみから恨むようにまで発展してしまいます。それが、人の心理による負の感情のスパイラルの正体です。
妬む人の特徴
羨みと憎しみの両方が複雑に混ざり合った妬みという感情。誰しもが陥る感情ですが、妬む人にはある共通の特徴が見られます。
自分と他人を比べたがる
妬む人は、自分と他人を比べて見る傾向があります。容姿はどうか、頭の良さは劣っていないか、自分以外の人はどんな人生を歩んでいるのか。他人の人生と自分の人生を置き換えて考えることによって、正解のない答えを自問しようとするのでしょう。 人が妬みの感情を持つのは、自分と他人を比べることからはじまります。そもそも人は、違う姿形で生まれ、生まれ育つ環境も、出会う人々も違うのが当たり前です。それでも、人が他人と比べたがるのは、同じように人間として生まれてきた同士だからです。 「同じ人間として生まれてきて、なぜこんなにも違いがあるのか?」という不満にも近い疑問は、多くの人が抱えているのではないでしょうか。
プライドが高い
プライドとは、自尊心のことです。自分と他人を比べ、妬みの感情が湧きおこるのは、その人のプライドの高さを表しています。プライドを持つことは、その人が人として生きる尊さをしっかり持っているということです。 プライドの高さは人によって差があります。しかし、最低限のプライドは、どんな人でも持っています。つまり、感情を持った人であれば、誰しもが妬みという感情を持つものなのです。それが、負けん気や向上心にも繋がることもあります。妬みと負けん気は全然違うようで紙一重な感情です。
自信が持てない
妬みという感情は、自分に自信を持つことができていないことの表れでもあります。人は、人間社会を通じて、自分と他人の個性の違いを目の当たりにします。そんな中で人が自分に自信を持つというのは、本来とても難しいことです。 自信家に見せている人でも、心底から自信があると言いきれる人はなかなかいません。他人より優れていれば自信を持ち、他人より劣っていると思えば途端に自分の欠点を突き付けられ、劣等感を感じてしまうからです。
愛情不足
よく妬みやすい人は、他者からの愛情が不足している可能性もあります。妬みは誰でも持つ感情です。しかし、親を筆頭とした身の周りの人々に十二分に愛されている実感や、存在を認められるという経験を培っている人は、自然と自己肯定感が高まります。 一方で、幼少期に受けるべき愛情が不足していたり、いじめなどの苦い人間関係を経験していると、自分の存在の尊さを自分自身で疑ってしまうようになります。人間社会において、周りの人々との関係性によって、妬みという感情を引き起こしやすくなる影響を及ぼすこともあり得るのです。
人が他人を妬む具体例
みなさんはどんな時に他人を妬みますか?次にご紹介するのは、人が他人を妬む時の具体例です。人が他人を妬むのは、一体どんな時なのでしょうか。
1.容姿端麗を妬む
「美男美女はそれだけで得をしている」そんな風に感じたことはありませんか?容姿が美しい人は、男女問わずモテる傾向があるのは否めません。同じ人間として生まれていながらも、人としての評価や扱いに差を感じる経験をしたことのある方が多いのではないでしょうか。 美男美女という理由だけで特別扱いをされている…容姿に関する評価は、自分ではどうにも変えられないからこそ、余計にもどかしい悔しさを感じてしまいます。 人は、ただ容姿端麗であることを妬むのではありません。容姿の差によって、人間社会においての扱いや評価にまで差が生じることに対して、妬む感情を抑えきれなくなるのです。
2.恋愛や結婚で幸せそうな同性を妬む
これは、特に女性が妬みやすいケースです。女性の方で、恋愛や結婚の有無、その内情の差に妬むという経験をされた方は多いのではないでしょうか。恋愛や結婚に関して妬むのは、同じ女性としての生き方の違いを敏感に察して、どちらが幸せか自分でマウンティングしているからです。 女性は、恋愛や結婚による幸せの受け止め方が特別です。異性からモテることや、恋人がいたり、どんな相手と結婚するかは、女性にとって幸せな人生を送れているかのステータスでもあるのです。
3.金持ちを妬む
お金に困っている人ほど、金持ちで裕福な暮らしをしている人を妬む傾向があります。それは、社会で生きる上で、金持ちか金持ちでないかは生活そのものに歴然とした差を生みだすからです。 社会には、お金で得られる幸福感があちらこちらに散りばめられています。物欲も、旅行などの娯楽の時間さえも、お金によって満たされるようにできています。人は、ただ金持ちを妬むのではなく、金持ちであるがゆえに満足した生活を送れることを羨ましく思ってしまうものなのです。
4.出世する知人を妬む
これは特に男性で多いケースです。なぜ人は出世する人を妬むのでしょうか?それは、出世することは、社会から存在を認められているという実感ができるからです。 人は、他人に認められたり、褒められたりすることで、自信をつけていくことができます。つまり、出世をすることは、自分の存在や能力、努力を褒めてもらうことと同じ効果があるのです。 しかし、社会で出世できるのは選ばれた限られた人だけ。出世できる人に対して妬みの感情が沸々と湧き上がるのは、そんな競争社会の中で必死に生きようともがいているからです。
妬みの感情を抱く時の心理
他でもない自分自身を苦しめる妬みという感情。なぜ人は他人を妬むようになってしまうのでしょうか?人が妬みの感情を抱く時の心理についてご紹介します。
1.「自分もそうなりたかった」という羨み
人が妬みの感情を抱くのは、心の奥底で「自分もそうなりたかった」という羨みの思いを抱えているからです。 「欲望が満たされない時、人は苦しいと感じます。そんな時、同じ人間同士である他人が自分の欲望を叶えているのを目の当たりにすると、『自分もそうなることを望んでいたのに叶わなかった』という悔しさが、じわりじわりと滲んでくるのです。」 人間として生まれてきて、人は社会での生き方を模索することになります。何が幸せなのか正解が分からないまま生きている中で、欲望が満たされる瞬間に、人は幸せだと感じることができます。そして、欲望が満たされない時、その悔しさが他人を妬む感情へと変化していくのです。
2.現状に満足できない悔しさから妬む
「人の妬みという感情は、自己満足度数と比例しています。欲望が満たされないことの悔しさがあると、人は妬みの感情が湧きおこるようになります。つまり、自分の現状に満足していれば、妬みという感情が引き出されにくくなるのです。」 妬みと自己満足度数は比例しています。しかし、自己満足度数と欲望を満たしているかどうかは一致するとは限りません。 人は、自分の欲望に関しては貪欲になりがちです。その欲望を満たすか満たさないかで生きていると、自己満足度が大幅に変わることになります。そして、それによって妬みの感情がより強まることに繋がるのです。
3.自分だけが苦しいなんて許せない
人が他人を妬むのは、自分だけが満たされず苦しい思いをしているということが許せなくなるからです。人は、どう生きていくことが正解なのか模索しながら生きています。同じ人間として生きる他人の生き方は、生き方の模範にもなり得るのです。 「人は、どんなに苦しくても、他人と同等であれば不幸だと嘆くことはありません。しかし、他人と比べて自分ばかりが苦しんでいると分かれば、自分が不幸者だと思うのです。」 苦しみながら生きる人は、同じように苦しむ人を称賛します。そして仲間だと思い込みます。一方で、いつも幸せそうにキラキラ輝いて見える人のことは、「苦しみが分からないダメな奴だ」と敵対視します。この感情こそが、妬みの正体です。
人はなぜまわりを妬むのか?
妬みという感情は、人が生きる上で、欲望や「幸せになりたい」と心底願っているからこそ生まれるということはお分かりになったでしょうか?では、なぜ人はまわりの人を妬むのでしょうか?
同じ人間同士という仲間意識がある
人が妬みの感情を持つのは、相手が同じ人間同士という仲間意識があるからです。人が動物に対して妬むことはありません。同じ地球上に人間として生まれ、同じような環境で生きている同類だからこそ、自分の比較対象として意識するのです。 更に、女性は女性に対して、男性は男性に対して妬む傾向があります。これは、人は、男性と女性は明らかに違いがあることを受け止めることができているからです。 「この人は自分と同じである」という意識があると、現実にその人と自分との違いや差を目の当たりにした時に「裏切られた」という感覚から妬みの感情は強まります。
妬みはないものねだり
人が他人に対して抱く妬みは、ないものねだりをしている状態に過ぎません。人はそれぞれ、姿形も性格も感性も能力も違います。本来、自分に持たされた個性をどう生かしていくかで、その人の魅力が見出されます。 みなさんは、まわりの人と自分を見比べて、相手より自分は劣っていると勝手に自己評価してしまっていませんか?妬みという感情は、自分の長所と短所を含めた個性を、自己否定してしまうことで生まれるものなのです。
妬みは生きる不安の象徴
人がまわりと自分を見比べて妬みという感情を抱くのは、心の奥底で生きることの不安を抱えていることを表しています。つまり、妬みの多さや強さは、その人自身の心のSOSでもあるのです。 人は、ただただ幸せでありたいと望んでいます。しかし、実際には苦しみや悲しみを経験することもあります。妬みやすい人は、幸せを望む以上に、不幸せにならないことを強く望んでいるのです。 人は自分一人だけでは幸せを実感することがなかなかできません。他人の生き方と比較することで、手っ取り早く幸せかそうでないかを実感することができるのです。
日本人は妬む人種?
日本人は、妬みやすい人種です。それは、日本が島国という閉鎖的な環境であることが影響しています。閉鎖的な環境にいると、人は似た価値観や感覚を持つようになる傾向があります。そして、和や同調することが正義だという新たな価値観が生まれるのです。 そうすると、本来違って当たり前なはずなのにも関わらず、自分たちと違う価値観や装いをしている人のことを「変わった奴だ」という身勝手なレッテルを貼るようになってしまいます。そんな「変わった奴」が自分よりモテて、金持ちで優雅な暮らしをしていたら、みなさんはどう思うでしょうか? 日本人は基本的に真面目です。その真面目さゆえに、不真面目な人が自分よりいい思いをすることを許すことができないのです。これが、日本人が妬みやすい人種である背景です。
妬むことをやめることはできない
みなさんは、他人を妬む自分は好きですか?他人を妬むという感情は、決して気持ちのいい感情ではありません。できることなら他人を妬むことなく生きていきたいという方が多いのではないでしょうか。 妬みという感情は、やめようとしてやめられるものではありません。どんなに「もう妬むのはやめる」と宣言したところで、自分の意思とは裏腹に、勝手に感じてしまうのが感情だからです。 しかし、人には理性があります。そして、気付く力と考える力を持っています。人は、理性や思考力によって、妬む感情を自分でコントロールすることができるのです。
妬みの感情をコントロールして生きるには?
妬みの感情は、他でもない自分自身を振り回すことになりかねません。 心身が健康であるためには、妬みの感情をコントロールして生きることは、とても大切です。そこで、最後に妬みの感情をコントロールして生きる秘訣をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1.ありのままの自分を受け入れる
みなさんは、ありのままの自分をどれくらい愛していますか?人は、長所と短所すべて含めて「自分」です。果たして、自分の短所を受け入れることができているでしょうか? 人が妬みの感情を持つのは、他人と比べながら、自分自身の劣っている部分を否定してしまっていることが根本的な原因です。つまり、短所を含めたありのままの自分を受け入れることができるようになると、妬みの感情が、羨みや憧れという気持ちに緩和していけるようになります。 人は、自分のいいところよりも、欠点の方が気になってしまうものです。自分の優れているところ、苦手なところを、改めて見直してみましょう。そして、「自分」という人間を自分自身でよく知ってあげましょう。
2.自分と他人の違いを認める
ありのままの自分を受け入れることができるようになったら、次は他人の個性と向き合ってみましょう。そして、自分と他人は違う人間であることを認めましょう。 みなさんのまわりにいる一人ひとりは、違う個性を持った人間です。妬む感情を抱きながらも、自分と他人の個性の違いに、既に気が付いている自分がいることに気が付くことでしょう。 人は、自分にないものを持っている人を妬みます。しかし、実際は、相手にとっても、あなたは自分にないもの持っている人でもあるのです。あなたが妬む対象とする人が、あなたのことを妬んでいるかもしれません。人の個性はそのようにできているのです。
3.負の感情を受け止める
みなさんは、「悔しい、悲しい、寂しい」などの感情をどのように受け止めていますか?妬みの背景には、必ず別の負の感情があります。妬みは、この負の感情を他人に向けてしまうことからはじまります。まずは、負の感情を自分自身の胸で、なぐさめるように受けとめてあげましょう。 人は、負の感情を味わうと、「苦しい、辛い」と感じます。そして、「もうこんな思いはしたくない」と思うようになります。ところが、実際には辛いことや苦しいことは人生において必ずあります。タイミングや内容は様々ですが、妬む対象の相手もまた、人知れず苦しんでいるものなのです。 人間社会において、喜怒哀楽の全ての感情を経験するのが人生です。辛いできごとを負の感情として受けとめるのは、自然の原理。それは、正解でもなければ誤りでもないのです。喜怒哀楽の感情を請け負いながら、「生きる」ということを堪能しましょう。
4.自分を不幸者だと思うのをやめる
みなさんは、自分のことを幸せ者だと思いますか?それとも、不幸者でしょうか?実は、幸せか不幸かというジャッジは、自分の思考一つでどちらにもなれるものなのです。 人が他人を妬むのは、自分と他人の人生を見比べて劣っている面を見つけると、自分ばかりが不幸だと思ってしまうことが原因です。しかし、それは、自分で自分の人生を不幸だとジャッジしているだけではありませんか? 悔しさや悲しい思いをすることが不幸であるなら、みんな不幸者です。同時に、楽しさや喜びを感じる瞬間が幸せなら、みんな幸せ者です。このジャッジが基準となるのであれば、幸せ者である瞬間と、不幸者である瞬間が、人それぞれでズレているだけなのです。
5.悔しさを糧にする
妬みという感情が完全になくなることはないでしょう。しかし、妬みの根本にある悔しさを糧に生きていくことで、自分の人生を自分自身の力で切り開いていくことができます。 妬みは、自分にないものを他人が持っていることに対して「悔しい」と思うことから始まります。悔しいと思うのは自然です。しかし、その悔しさを相手のせいにするのは間違いです。 もしその状況が逆だったらどうでしょう?相手の悔しさを自分のせいにされたところで、あなたは自分が持って誇りに思うものを手放すことはしないはずです。妬むという感情は、ずっと抱き続けても、何かが変わることはないのです。
「妬み」という苦しみから解放されましょう
「妬み」という感情の正体についてご紹介しましたが、みなさんいいかがでしたか?人には五感によって、違いを見極める力があります。妬みという感情を抱くということは、その違いに気が付いているということです。 その自分と他人の差という事実を受け入れることで、妬みという複雑に絡まった感情から、ようやく解放されることができるのです。 妬みという感情に苦しめられたら、ぜひ「自分」という個性や努力を認めてあげてください。そして、これまでの自分の人生を称えてあげてください。自分を苦しめていた「妬み」という感情から、ステップアップしましょう。
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